Akiapola'au

読んだ本のメモ ネタバレは自衛してください

2024/4

4/2

パトリシア・ハイスミス『回転する世界の静止点』(河出書房新社)

な~んかこれぜんぶハイスミス二十代のときに書いたって考えるとやんなっちゃうよな~。
初期のハイスミスはものごとに勝手に期待して勝手に失望していくひとをよく書いていて、たまにトチ狂って(?)ハッピーエンドをつけてしまう。
おもしろかったのは「カードの館」と表題作。

4/4

えなんか人種差別とかお家騒動とか……どうでも良すぎて草。つり乙で桜屋敷のみなさんが仲良くワイワイしてるのは安心して読めたのだが、うーん。不愉快なキャラが多すぎるうえに展開が楽しくない+けっきょくデザイン勝負してコレクションに出るみたいな前作のなぞりでなんだかなぁというかんじ。
お家騒動もごちゃごちゃいってるが遊星(+りそな)がキャスティングボートを握ることの根拠が孫にだだ甘のジジイしかいない。ふつうに考えたら衣遠はジジイを暗殺するべきだと思うのだが。

ディートリンデ
このゲーム唯一かわいいのヴァリーさんだよな。

衣遠&駿我
そうはならんやろ。

ブリュエット
制作側にも黒歴史認定されてるらしく、まったくなかったことにして続編で真エッテルートが作られているらしい。どういうことやねん。まぁビアンだったはずのキャラをこんなふわっと男に惚れさせてたら納得いかんわな……。

メリル
幽閉されて服頑張って作ってお兄様に認めてもらってハッピーエンドってルナ様とまったくおなじ展開やないか~い。無知シチュも行き過ぎると罪悪感がな……。

りそな
アーモンドの花のくだりはガチで感動したのになんかけっきょくルナ様出てきていや~やっぱ桜っすねみたいなこといい出して興ざめ。駿我さんも途中からなにいってんのかぜんぜんわかんないしけっきょくすごい服を作るとなんで家族が認めてくれるのかもよくわからん。すごい服作ったからって十代の女の子に世界的な財閥の家督を継がせちゃダメだろ。同時に二か所に存在する裏技がテレワークなのはまぁなんかちょっとしょぼすぎて笑っちゃうよね。晩餐会、じつはそんなに大事でもないのか? まぁでも布屋のおっさんはちょっとかっこよかったか。

なんかよくわからん理屈が継ぎ接ぎされてなにがしたかったのかもよくわからないし、とにかく真心人種差別の人が不快すぎてどうしようもないゲームだった。中国の人の扱いも驚かされはしたけどそれが面白いかといわれるとただただドン引きというかんじ……。でもフランス語モードのユーシェはマジでかわいいね。たぶんおれがユーシェ好きなだけだが……。つり乙でもユーシェに日本語勉強してもらうんじゃなくてふたりのときはフランス語で会話すればよかったんじゃないか?

4/5

マルセル・プルースト『失われた時を求めて 5 ゲルマントのほうⅠ』(岩波文庫)

ゲルマント夫人に謎の執着を見せる「私」くん。常にキモさの最高値を更新してくるすごい主人公だ。夫人にもガッツリ避けられとるし……。
夫人モクでサン=ルーと仲良くするもふつうにサン=ルーと仲良しになってしまうのウケる。

4/7

小川一水『天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河』(ハヤカワ文庫 JA)

ノルルスカインが "意識" を持つようになるまでの描写とかオムニフロラの快進撃とかはスケールがでっかくておもろい。でもタックの話は……あんまり盛り上がらないまま終わってしまう。

4/7

ジェイムズ・ジョーンズ『氷菓子の頭痛』(角川文庫)

なんか……ヘミングウェイスクールというかんじだ! フォークナーの影響は……よくわかんない。真似しようと思ってできるやつじゃないだろあいつは。時代やテーマ的にはサリンジャーと比べるべきだろうが、サリンジャーほど文体や構成に隠蔽癖がかんじられないというか。

「鋼の気質」
ヘミングウェイ文体のバナナフィッシュというか……(こういうこと適当なこといってると怒られる)。

「この世のならわし」
軍隊の不条理みたいな、まぁ公務員も大して変わらんことですしな。どう面白がっていいのかよくわからない系。

「かくも狂おしく歌う者なし」
なんかこう……あれやね、夢芽さんと蓬くんが喧嘩してる音声聴いてるときの気持ちを若干思い出しました(?)

「バレンタイン」
うーん、アップダイクなりそこね小説……。(ほんとか?)
ためらってたらどんどん状況が悪くなってけっきょくより勇気を出さざるを得なくなるみたいな序盤はよかったがオチのつけ方は凡庸だ。

「一びんのクリーム」
うーん、ヴォネガットなりそこね小説……。(ほんとか?)

「氷菓子の頭痛」
これは傑作。没落した名家(といっても祖父の代での成り上がりだが)で妹とその友だちに誘われてなにやら淫靡なかんじに……。ちょっと没落パートがややかったるい(叔父が多すぎる)が、夏の南部のもやがかかったような空気、祖先の罪をインセストという新しい罪で洗い流そうとする子どもたち、アイスクリームの冷たくて短い快感とその暴食の罪に対する罰である頭痛! ふふん、この程度の罰で済むならだれだって罪を犯したくなるね。

4/11

魚住陽子『雪の絵』(新潮社)

クソ旦那サイテー主婦って生きづらいわぁん小説にやや足を踏み入れかけているようなところもなきにしもあらずだが、そこをぬるっとはみ出すのがこの作家のいいところだ。

「別々の皿」はほとんど好きな惣菜発表ドラゴンといったかんじ。ほんとにデパートのひとって客を噴水と滝に分類してるのか……? べつに不倫をするわけでもなく、でもなんか決定的におかしなことが進行中なラストはぞわぞわするというかもぞもぞするというかそういう感覚が襲ってくる一瞬前の予感みたいなかんじがある。家庭という聖域を演じるのに飽きるのっておそろしい。あたしはこういう逆上がりが成功しそうなときに急にもうどうでもいいやみたいなかんじで手を放してしまう小説が好きだ。

「雪の絵」
なんか……ハイスミスっぽくない? そんなことはないか……ただおれが連続して読んでるだけだな……。絵を描いている夫が修羅場に入ると子どもを連れて宛てのない旅に出る。これ以上緩むと家庭が分解する、そんなぎりぎりを攻めるのがきわどい。

「秋の指輪」
これはなんか印象的なラスト、というかんじであまり印象に残らなかった。もっとわかりづらいものを書いてほしい。

「雨の中で最初に濡れる」
わかりづらすぎる。もっとわかりやすいものを書いてほしい。

4/14

トマス・アクィナス『精選 神学大全 2』(岩波文庫)

法論はかなり常識(?)にも合致する話をしていて読みやすい。しかし「ほにゃほにゃは二つの仕方で語られる。本性的にはうんにゃらで~ある意味ではふんにゃりである。したがって異論にいうところのふんにゃかはうんにゃらという意味で語られたところのほにゃららであり……」メソッドはほぼ無敵だな。うるせえ! 一義性パンチ!
旧約、新約、恩寵の話は難しいというかあんま興味なくてよくわかんなかったス笑

4/14

ぱれっと『恋がさくころ桜どき』

主人公がモテすぎるのも考えものやね。ヒロインたちから無条件でモテるのはそういうゲームだしいいんだけどヒロイン以外からもモテると疲れちゃう。

美桜
主人公に触れない原因が過去に手を振り払われたこと/そしてそのとき手を離してしまったせいで悠真が車に轢かれてしまったという罪悪感なのはけっこういい*1。でもなんでそれが男性恐怖症に発展するのかはよくわからない。むしろほかの男には触れられるのに主人公にだけは触れられないとかのほうが話のひねりようがあってよかったんじゃないか? なんかでもあんま男の嫉妬とか描いてもしょうがないしな。
後半のすれ違いの原因はしょうもなさすぎる! 妹に荷物の受け取りをお願いするくらい……いいだろ! しかしあたしは幼馴染ものにあんまり興味がないので幼馴染ものにどういうクリシェがあるのかよくわからないのだが、幼馴染ものの名作ってどう話を盛り上げていくんだろう。

夕莉
ウオーなんだこのかわいい女は。顔がかわいいし声がかわいいしセリフがかわいいな。この感情が……萌え? 和風メイド夕莉も読モ夕莉もお出かけ変装メガネ夕莉も可憐すぎる。はあはあはあつばすの青髪ヒロインが代。千代に八千代によ。うわーさざれ石の巌となってしまった(超常現象)。
て、て、て、手錠!??!? 事故で手錠でつながっちゃって外せるまで離れられない展開!? すきすきだいすき(発表ドラゴン)。拙僧がこの性癖のイニシエーションを受けたのはまだあたしが女児だったころ、『だぁ!だぁ!だぁ!』を読んだときのことでした――うぉっ歳がバレる――まぁそれはどうでもいいとして。 大萌えではあったが前半は三角関係、後半はヒロインとは別の女の話が中心と、みう先輩ルートの悪いところを受け継いでしまったかのようなかんじで、夕莉を素直に愛でられなかった。ていうか花子がかわいすぎる。この感情が……萌え?(2)でも一卵性双生児なのに夕莉と花子ってどういう命名規則してんだよ月嶋家はよ。
花子の寿命が迫っていて、悠真と別れればその寿命を伸ばせるって取引を迫られるというのはもっと理屈がしっかりしてれば良い展開になったかもしれない。しかしこのルートの内部の描写だけでいうと場当たり的で支離滅裂で、さすがに杏ルートかティナルートで少なくともなにか説明がつくのであろう……と思っていたが、説明はなかった。いやあの花子の寿命、ほかのルートだとどうなってるんすか?
一回目のエッチシーンで朝から晩まで射精し続けたのにはさすがのアタシもびっくりしたね。

こなみ
おっも笑
おおむね偏差値低め(褒めてます)のテキストとシナリオでインセストタブーの話が出てくると態度を豹変させるのはましフォニでもそうだった*2のだが、今回は実妹だからさらに重い。ほかのルートだと義理の息子に色仕掛けを仕掛けてくるヤバい義母がこなみルートだと牙を剥きインセストを阻止することに血道を上げるのかなり怖かった。とはいえそれがたんなる道徳的な嫌悪感ではなく、亡夫から預かった兄妹を幸福に養育しなければならない、そうでなければ亡夫に顔向けできないという義務感がそれを強いているのと、みずからも教師と教え子の恋愛という許されざる恋愛を経てきたという過去もこれを後押ししているので、不条理感はなかったというかむしろ納得であったが、怖いものは怖い。
関係を周囲には隠してなあなあでやっていこうみたいな安易な方途をお兄ちゃんに提案されてこなみがブチギレるところがあたしは大好きだ。じっさいにどうするかはともかくとして、感情の自然な流れとしては「なんでわたしたちが我慢しなきゃいけないの?」になるのは当たり前だ。そんなところで物わかりのよさをみせなくてよい。物わかりがよかったらふつう血のつながった兄妹で恋愛なんかしないからだ。ましフォニのさくのんルートでは周囲には忍ぶ恋という道が描かれたがこっちでは隠したくないぜ正々堂々生きたいぜだからどんな試練にも耐え抜くぜという方針を取ったんですな。どっちも……好きや。


あっ SS 一番隊隊長さんの声だ。お久しぶりです。
杏は死神と人間のハーフだった――で、死神部分と人間部分が共存しているらしい。なんか妖夢みたいだな。
杏さんがいろんなことにおせっかいにも手を出してしまうのは死神として喰らった魂の記憶を受け継いでいて、その無念も知っているから――ええ話やないですか。
杏さんはこうみえていろいろ引け目があって、つらい死神の仕事はエレに任せてるのとかけっこう気に病んでいる。で、悠真のこともエレに譲っちゃおうとする。
ふたり同時にひとりを好きになって引け目が追っている方が譲るという展開はそのあとなんやかやあってハーレムに持ち込まれるといやしかしそんな……彼氏を共有とか……するか?となってしまうが、エレと杏みたいに身体はひとつで、ヒュポスタシスなのかピュシスなのかわからんがとにかく人性と死神性に分裂してるとなると単純な他人ともいえなくてそう嫉妬とかそういうかんじでもなくなるのかな。繊細なオタクくんとしてもあんた杏ちゃんのこと好きっていったくせにエレでもイケるってどういうことなのよプンプンという気持ちといやしかし一粒で二度おいしいと……素朴にうれしいな……という気持ちのはざまを漂う羽目になった。だからアフターではエレを交えてもっとインモラルなことをしてほしかった。すみません、正体を現してしまいました。

ティナ
これは……うーん。
ティナが死神の仕事を嫌がってじぶんの命を危うくしちゃっているという話。しかしこのままじゃさすがに死ぬというので死神レッスンをはじめるが、手始めにデブ専兄貴の元カノを看取ったところ悲しい過去が――
デブ専兄貴はたしかに弱かったが、主人公には許されない弱さを見せてくれたことでかえって人間としての好感度は上がった気がする。デブ専兄貴は(ふつうの)高校生男子に耐えられるギリギリまでいい人だったし、元カノも全部憎んでいたわけではないのだ。感謝と恨みが半々だったときに、どっちが主でどっちが従ということもないし、どっちが本当でどっちが嘘ということもなくて、どっちも本当ということはぜんぜんありえるだろう。ティナが恨みを隠してくれたのもやさしい。デブ専兄貴はいい男になるだろう。
というところまではかなり感動的だったのになぜか死神の設定がブレブレになる。杏は食った記憶を覚えてるゆえに苦しんでいたのにティナはなぜか食った記憶を保持しておけないらしいし、しかもうまく消化できなくて死ぬらしい。杏は死ねないから苦労しとったやないかい!
設定のブレには目をつぶったとしても、わけわからん理由でメシを食べ忘れたティナが消えて、まったく説明なしの理屈で復活したときはびっくりしてしまった。やる気あるんか。

なんか全体に主人公にあんまり魅力がないのとティナルートがしっちゃかめっちゃかすぎるというので大きく評価を下げているようなきがするが、あたし的にはまぁまぁ満足したゲームだった。なにより夕莉がかわいかった。

4/16

パトリシア・ハイスミス『目には見えない何か』(河出書房新社)

殺人の容疑でサスペンスしたり自殺でオチつけたりなんだかただのミステリ作家の短篇集になってしまった。前期の方が読みづらかったけど一筋縄ではいかないかんじがして面白かったよ。

4/17

日日日ほか『ホラーアンソロジー 2 “黒”』(ファミ通文庫)

博品のファンが平家さんがいちばん好きとかいってたから買ったやつ。でも 2 だけ読むのもなんか居心地悪いし 1 の作家たちに不義理な感じがするしそのうち 1 も読みます。

日日日「鶴見さんの恩返し〈を見てはいけない〉」
最悪のチェンジリングを匂わせるページで終わっておけばおぞましくてよかったのに、そこから怒涛の伏線回収が始まってミステリ風味のモダンホラーになってしまうのがなんというか……二郎系ホラーだ。
しかしまあ物語を面白がるお前たち読者のような存在がもろもろの苦しみを産んでるんやで!といわれても、なかなか素直にそうか物語を面白がるおれたち読者のせいでもろもろの苦しみが産まれているんだな……とはならんのが難しいところやね。ウルチモトルッコやローウェル城読んでも罪悪感とかないしな……。

櫂末高彰「こんな夜には」
十年以上前に書かれたライトノベルだからってまさかそんな叙述トリックが使われてるわけ……使われとるー!?(ガビーン)
幽霊と生者の交流を描いた作品で読者には生者とみえていたものがじつは死者だったオチが許されるのはもうエロ漫画くらいだろ。日日日先生が割と凝った構成をやったあとの直球叙述ってのもちょっと分が悪いね。
じゃあつまんないかといわれるとヒロインの造形がいいからわりと面白い。こういうのでいいんだよなこういうのでおじさんもこういうのでいいんだよなこういうのでっていいながら腕組みしてます。でもこれホラーではないだろ。
あとこの幽霊ぜんぜんふつうに物理的接触できるらしいので、ふつう幽霊と生者のコミュニケーションものって直に触れないからうんぬんみたいなくだりが重要だったりしない?とか思った。そりゃ幽霊だからってそんなこと気にするとでも思ったわけ?ってなるわな。まぁ年は取らないからそこは障壁になり得るか……。

佐々原史緒「彼女はそこにいる」
ストレートすぎる和風ホラーで、さいごに怨霊とのあいだに不器用な初恋未満の不幸なすれ違いが仄めかされる。うーん、文章はかなりうまいんだが。田舎の秋の訪れかたの書き方が美しすぎる。

石川博品「平家さんって幽霊じゃね?」
夏みかんのとこの文章天才だと思ってこういう文章が書けるなら博品ってやっぱり天才なのかもしれんと思ったら引用なのかよ! メモ帳に抜き書きするくらい気に入ってたのによ。騙されたぜ。なんかここだけ浮いて見えるなとか思ったわけだ。
おもしろいかといわれるとやっぱりあんまりピンとこなかった。おれには石川博品の才能がない……。

森橋ビンゴ「彼女はツかれているので」
なんかよくわからん小説で、このストーリーをやるのにサブヒロインっぽい女の子複数人必要でしたか……? あたしが意図をくみ取れてなかったらあれなんだけどタイトルもちょっと変なのに読み終わってもなるほどというかんじでもないし、あらゆる要素が必然性に基づかないかんじがして、漫然と書かれた手癖小説というかんじがあんまり好感をもてなかった。いやちょっと評価が厳しすぎるか。サボテンがキーになるのとかはこれも必然性がないけどそうはいっても詩的でよいわけだし。

関根パン「眠れずの部屋」
うーん、微妙……。藪の中やるならやるで種明かし幽霊はいらなかったのでは……。ていうか種明かし幽霊があたしがいちばんつらくね笑みたいなこといい出すのかなりウケてしまう。

綾里けいし「クローズドアンツ」
綾里先生は蟻が自室にいたという実体験からこれを思いついたらしいが、蟻走感――肌の上や下を(じっさいには存在しない)蟻やヘビなどの虫が這っているように感じられる幻覚――は更年期障害から統合失調症の陽性症状、麻薬の副作用*3まで幅広く現れるポピュラーな不快妄想のひとつで*4、先生の自室に現れたという蟻が現実の蟻であってほしい――いやそれはそれで問題があるが――という気分に……。
ところで蟻走感はこれだけいろいろな原因で出てくる割に、そのメカニズムはよくわかっていないらしい。とにかく人間にとって虫が体を這い回るというのは本能的に不快な感覚で、だからこそいろいろな理由で幻覚するのだろう。
で、本能的に不快ならぜひともホラーにするべきで、これをホラーにした綾里先生はえらい。しかもただの本能的な不快感としてではなく欠落感として、それもじぶんひとりのなかで起こる自発的な欠落感ではなく、なにかによって蝕まれていくような感覚としての欠落感として蟻走感を使ったというのがいい。よっ! このメタファー上手!
……いや、蟻に食われるのが好きだった女の子を事故で失ったことの喪失感を反映しているみたいな種明かしをじぶんで逐語的にやってるんだからメタファーではなくないか? お前のことが好きだったんだよでも死にたくねえよ頑張って生きてくしかねえじゃんをこの上なくストレートにぶちまける後半部は小細工は一切なしだから!というかんじで、小説として評価できるかどうかはともかく作品集のラストを印象深いものにしている。
あと挿絵がいいよね。ほかの作品の挿絵がちょっとホラーにその絵柄はどうなの……というイラストレーターばっかりだったが、この絵はたしかにこの女が死んだら悲しいだろうな……というきぶんになった。

4/17

松樹凛『射手座の香る夏』(東京創元社)

「射手座の香る夏」
めっぽうおもしろい、おもしろいが、なんかめまぐるしいというか忙しないというか色々なこと詰め込まれててけっこうびっくりした。植物人間も嗅覚は働いている→嗅覚ベースのコミュニケーションであれば取れるかもしれない→ところで意識を転移する技術があれば動物に意識を転移してかれらの感覚器官を用いることができるかもしれない→嗅覚ベースのコミュニケーションをしている狼に乗り移ろう、という、いわれてみれば理屈は通っているのだがさいしょ人格転移ものであるという先入観で読むとなんだかとんでもないアクロバットをやっているように見える、そういう小説だ。植物人間とコミュニケーションしたい、がスタートで、人格転移はその道具なのだが、道具をさきに見せて目的はさいごまで隠しておくというサスペンスの作り方なわけですな。これだけならシンプルなんだけどここにさらに意識を転移した後の抜け殻の人体消失のミステリ興味だったり動物に意識を転移させて悪い遊び方をする若者たちだったり故郷喪失のテーマだったりをどんどんぶち込んでいくのでやや紙幅に対して盛りだくさんすぎて焦点がぼやけてないか? というかんじにも……うーん、サービス精神が旺盛というより過剰に思えてしまうが、さいきんはこーゆーのが流行りなきもする。うまくいえないですけど、いろいろ入れとくからどれかが琴線に触れてくれ!みたいな……。あたしは殺されたペロに〝嫉妬〟する李子ちゃんがいいね……!と思いました。にしても指で銃作るところはちょっとかっこつけすぎ。なんか同人百合小説とかでよくみる陳腐なシーンみたいだと思ってシラケちゃった。
意識が転移できても複製はできないみたいな超都合のいい定理が出てきてあまりにも雑だからなんかそれでひとひねりあるのかと思いきやそんなこともなく、SF 要素はあくまでも物語の道具として使う系なのね、とか、そんなことを考えたり。ドラマを書くのに超自然要素が必要なときそれをファンタジー的に処理するか SF 的に処理するかという問題があって、あたしはわりと説明に苦慮するならファンタジーにしちゃえよ派なのだが、かといってなんでもファンタジーにできるわけでもなく、いままでの常識には反しているが自然法則には反していない(少なくとも作中の論理では)新事実や新技術によってものの考え方とか見方が変わって新しい可能性が闢けるみたいな話をしたいときにはファンタジー的説明では不足だよなというかんじもする。なんかこういう話をカイヨワがしていた気がするが(『妖精物語から SF へ』)アホだからぜんぶ忘れてしまった。
ところでこの小説はぱっと見人間より動物が好きなのかと思いきや、やってることは人間様が意識はそのままに動物の感覚器官だけ借りてくぜという構図なわけで、じっさい凪狼さんが狩られるところなんかをみるとむしろ動物寄りではない物語になっている。

「十五までは神のうち」
ド傑作だ。失礼なことをいうと作者ですらもう一回これと同じことをするのは相当難しいだろうなというような(印象を抱かせるほど、)あらゆる要素が奇跡的なかみ合いを見せている短編というのが世の中にはあって、それがこれだ。
この小説のすごいところってうわっエモすぎいい描写だ……と思ったものがあとで予想外の角度から伏線として使われるのが徹底されているところだ。先生のことが好きで車のナンバーを覚えてしまうみたいなのもリアルな子どもの好意の抱き方だ……と思ってたら苦すぎる展開につながってしまう。じぶんが真っ先に逃げたせいで DV 親に殴られた友だちの頬の怪我が写真から消える。正義感が強いようで、そのやり方にはじぶんを巻き込むパフォーマンスめいた自己中心的なところのある兄が最期まで〝そう〟だったことがわかる――ミステリを読む人の大半はちゃんと小説として面白くてしかもちゃんとミステリとして面白いものを常に探し求めて常に裏切られているが、ほんとうに理想的なものに出会えた気分だ。ありがとうございます。
SF 設定のガバさ――なんで記憶だけ残るねんとかバタフライエフェクトが起きない理由が「そんなもの案外起きないものだから」ってそれでええんか?とかなんで母親に飲ませないとこの薬効かないん?(べつに本人に毒薬を飲ませてもよいだろう(というかなんで薬は肉体の移動を追跡する形でタイムスリップするんだ?))とか――もこんだけ美しいツイストの情景の前にはツッコミどころにならないな。うーん満点の小説だ。でも夏の田舎とか少年のころの淡い恋の挫折とかそれ使ったらもう勝ちだけど作家人生の間で一回しか使えない装置をこんなふんだんに使ってしまっていいのか?(何目線?)というかんじもある。いやもっとすごいものを書いていくんでしょうこういうひとは。

「さよなら、スチールヘッド」
なんか……これもまた複雑な話だ。けっきょくゾンビが数値海岸*5の住人でしたというオチは射手座と似た匂いがしてしまった。

「影たちのいたところ」
どうでもいいのだが di Italia は d'Italia となるんではないか?
ファンタジー世界と政治的な目くばせみたいなのに鼻白んでしまったのとまたまたゾンビオチかいというのであんまり好みではなかった。

4/18

小川一水『天冥の標Ⅵ 宿怨 part 1』(ハヤカワ文庫 JA)

だんだんメニーメニーシープでなにが起こっていたのかわかってくる。気持ちいいね! がんばれ救世群、非感染者たちを滅亡させろ!

4/23

ジョン・アップダイク『同じ一つのドア』(新潮文庫)

アップダイクの初期短篇を集めた短篇集。うまくいってないカップルの密室劇が多すぎてさすがに全身がニューヨーカーナイズされすぎだろと思った。チーヴァーだってもうちょっと幅がありますよ! アップダイクがそのへんの書評子に有名な(だけの)二流作家扱いされてると(たいして読んでないしべつにファンでもないくせに)なにおう貴様表出ろと思ってしまうのだが、読むとうーん、貴様らのいうことも、あながち……となってしまう。いやまぁ初期作品を読んでこんなことをいうのもアレなのだが。いい加減あたしもラビットを読みたいな~という気持ちだけはある。気持ちだけならだれにも負けません。

4/24

加藤泰彦『ホーン『否定の博物誌』の論理』(ひつじ書房)

重い腰を上げて NHN を読み始めたが、NHN はホーン先生が長年集めてきたワシの宝物を見せてやろう……ゾーンが長すぎて(博物誌だから当たり前なのだが)かなりぐったりしてしまったのでさきに訳者のひとりによるアンチョコをみる。まえも読んだけど……。
ホーンがグライスから引き継いでやってきた研究がいまどうなってるのかというのを紹介する本。具体的には尺度含意やメタ言語否定について。尺度含意は各表現の内在的な意味の一部なのか、文脈によって派生する意味なのか? 尺度含意の計算は局所的に行われるのか、広域的に行われるのか? 記述的否定とメタ言語否定はどのような関係に立つのか? 後者は前者から派生したのか、あるいはある演算子を共有し、その用法において異なっているのか? 経済性はどれくらい根本的な説明原理なのか? うんぬんかんぬん。なんかこれはまえもどっかで言った気がするのだが、言語学の研究で母語話者の内観に文法性を判断させると客観性がなぁという気分になるところ、ある文に適用される文法事項が多ければ多いほどその文は複雑になる、複雑な文は処理に労力を要し、時間がかかるという前提を入れると、言語処理において能力が劣る幼児を使って対照実験したりすることで経験的な証拠を得ることができるってのは面白いところだ。
それとこれはべつにこの本の感想というわけではないのだが、論理的な演算子や量化子 (not, and, or, if, all, every, no...) が日常言語では論理的なふるまいをしていないとか尺度含意というものがあって……とかはミステリやさんには役に立つものの見方なのではないか。まぁ関係者全員に厳密な述語論理で証言させればいいだけではあるか。安楽椅子探偵はもう古い、これからはグライス探偵がズバズバ九マイルを解決していく。うーん盛り上がらね~。

4/24

両親がふたりを残していった世界で兄妹が生きている。Handmaid――じっさいにはメイドでもなんでもないロボット――が身の回りの世話をしてくれるし、Vampires――じっさいには吸血鬼でも何でもない――から守ってくれる。
ふたりはひまつぶしにスマッシュアンドリカバリーゲーム(潜水艦ゲームみたいなルールの独自のゲームだ)をやって、そこで世界の真実に気づいてしまう。
アナトはオスカーの妹でもなんでもなく、船そのものだった! うーむ、リンクが直球の SF 書くと地に足着いてない――いつもは着いとるんかといわれそうだが、着いてる(断言)――かんじのカメラの距離になってしまい、かつ効果のよくわからんツイストで情緒を損なってしまう。

4/25

こっちはおもしろかった。訳そうかな……わかんないけどとりあえず以下は折りたたんでおきます。

▼ネタバレ 富裕層の子女が炎上対策と誘拐対策で身代わり Face を雇うのが当たり前の世界。身代わりはべつに本人に似てるとかではまったくないが、それでも本人として公的な場でふるまう。いっぽう子どもたち本人は表に出ないし、カメラに映らないようにインプラントが埋め込まれる(どういう機械なんだ)。
主人公はじぶんの妹の Face に恋をしてしまう。しばらくいい人間になろうとして筋トレしたりランニングしたり勉強したりがんばってみる。でも妹の Face は主人公の Face といいかんじになっている。やってらんねーというわけで頑張り週間は二か月で終了。
主人公は仲間の女の子のピラミッド落成式パーティで余興として、あるビデオを流そうとする。じぶんの Face と妹の Face のハメ撮りだ。ふたりはもちろんまったく無関係な他人同士なのだが、公的には主人公とその妹にほかならないから、これはまごうことなきインセストで、とんでもないスキャンダルということになってしまう。主人公は親世代とか失恋とか世界とかぜんぶをぶっ飛ばしてしまいたいという自棄に至っている。いっぽう世の中クソだと思っているのは妹もおなじで、妹はパーティー中に自殺しようと思っていたがひとりで死ぬのやっぱやーめたみたいなふらふらっぷりをみせる。そんななかくだんのハメ撮りの存在を知った妹はガチギレ。不幸なすれ違いからピラミッドの玄室に閉じ込められて出てこられなくなってしまう。
あらすじだけだと意味不明だが読んでもちゃんと意味不明だから安心してほしい。意味不明なりにエジプト人の宗教――エジプトの王家では全血の兄弟姉妹婚が忌避されないどころか推奨された――また、副葬品としてピラミッドに死後の労働を肩代わりする身代わりを入れた――が奇妙に未来の世界にオーバーライドしてなかなか狂ってるとばかりもいえないかんじになる。けっきょく最期まで名前を教えてくれなかった主人公がじぶんの名前をそれは俺の身代わりのための名前だから――といってアイデンティティを放棄するところはもうこんなんジーン・ウルフやんけというかんじ。うーん、おもしろい!!

4/26

小川一水『天冥の標Ⅵ 宿怨 PART 2』(ハヤカワ文庫 JA)

カルミアン最強伝説がここからはじまる。二十万人全員サソリ化しちゃった……。しかしカルミアンがいや冥王斑の治療薬とか一瞬で作れますけど……とかいい出すところはさすがに笑っちゃうだろ。

4/27

米澤穂信『冬期限定ボンボンショコラ事件』(創元推理文庫)

ちょっとこれは面白すぎる! どうする小市民シリーズがこんな真面目にミステリやってしかも面白かったら……そんなんもう……このミス一位やないかい!
小鳩くんが小市民を目指すきっかけになった黒歴史の事件と、それをなぞるかのように起こった現代の事件が並行して描かれるなか、病院でなぜか小佐内さんとすれ違い続け、手紙だけが残されるというちょっと夢のなかみたいな現実感のない病院生活もなにが起こってるのか不穏な感じにさせる。
ブレーキ痕の推理から隠された目撃者にたどり着くところは小鳩くんも興奮しているが読者も興奮するところで、ふつうミステリは思いがけない良質な発想が出てきたらそれが真相につながっていくものなのだが、じつはぜんぜんこれって犯人当てにはなんの役にも立たない。だってほんとにただの事故だし。監視カメラの方の謎が解けなかったことの現実逃避+なんか面白そうな人間関係に興味を持っちゃう時点で小鳩くん(中学生)の捜査が方向性のないものだったのは明らかだ。物語を求める気持ちが人を傷つけるというのはまさにこういうことをいうのだな。
過去のひき逃げで用いられたトリックが目くらましになってあまりにも力技すぎる現代のトリックが隠蔽されているのは大胆だ。過去の事件だけ、現代の事件だけでお出しされたらミステリファンの大体はすぐにトリックがわかってしまうだろうが、ふたつ並べられるとどういう連関があるのだろうと考えてしまって泥沼にはまる。
なんかさいきんはこればっかりいってる気がするが、これもまたハウダニット(巨大な密室)で興味を釣ってホワイダニット(なぜ小鳩くんは轢かれなければならなかったのか)に流し、ワットダニット(過去の事件とその捜査では何が起こっていたのか)が明らかになるという構図なのだなぁ。さいきんのよくできた現代ミステリは軒並み高カロリーだ。うれしいね。
病院パートで犯人が暗躍するところの動機だけはさすがに苦しかったが、書き方が上手いのでそういう種類の人間の弱さ、優しさと同居した複雑さみたいなのでごまかされてしまった。そういう犯人も……いるよな、たぶん……。
小佐内さんがメス堕ちしていたのはちょっと待って心の準備できてない!!というかんじだったので心の準備ができてません。小鳩くんはもっとまともな女と恋愛しろ(暴言)!

4/28

原田武 『インセスト幻想』(人文書院)

文学のひとだからしょうがないのだがフロイトは……やめようよ!!
古今東西(フランスちょっと多め)からインセストの事例を集めてきてうーんこんな人間の不思議さが垣間見えますなあみたいなひとくちコメントをつけ続けるという構成なのであんまり読んでて面白いものではない。まずさいしょにインセストは禁じられているからこそ惹かれ、惹かれるからこそ禁じなければならず、罪だからこそ聖性を持つみたいなそれ認めたらいいたいことなんでもいいたい放題やんけテーゼを受け入れないといけない。とはいえエピグラフに使えそうなフレーズはいっぱい集まる。
なんかそろそろアナイス・ニンとかキャスリン・ハリソンとかよんだほうがいいかもしれんなという気がしてきたな。

4/29

鈴木大輔『ご愁傷さま二ノ宮くん』(富士見ファンタジア文庫)

その存在は中学生のころから知りつつもなんとなくエッチなやつでしょ?みたいなので読んでこなかったシリーズに手を出しました。
一巻はちょっとえっちなフルメタというかんじ(ほんとか?)。アホだけどたまに団結するノリのいいクラスメイトがしょうもない策を仕掛けてきたりヒロインが誘拐されて硬派な主人公が助けに行く感じとかさ……。
男性恐怖症のサキュバスとかいう設定もよう考えましたな!というかんじなのだがそのせいで真由が抱え込むことになった実存的な不安とか、峻護が役得みたいな考え方をしない堅物なのに真由の力になってあげたいと思うようになる流れとか想像以上に盤石なシナリオでびっくりしました。中盤のすれ違いのところとかめっちゃいいよね。でもそうだよな、ゼロ年代のラノベで売れる(た)ならちゃんと話も面白いはずなんですよね。

4/29

鈴木大輔『ご愁傷さま二ノ宮くん 2』(富士見ファンタジア文庫)

急速にダメになってきた。麗華さんが……ウザすぎる!!
二巻でもう水着回というスピード巻。いやでもそんなもんか? 一巻で仲良くなった真由とキャッキャウフフしてるのは非常によくわかるがその一巻でなんかメインヒロインを監禁してた謎のお嬢様が付いてきてキャッキャウフフ展開があるたびにその真似をしようとしてくる。なんなんお前?
お嬢様はじつはむかし峻護と因縁があって同居していたことがあるらしい。いやしかし好感度ゼロのヒロインに幼馴染設定生やされても困る……なんかお嬢様がサキュバス(と多重人格)に目覚めて終了。

4/29

鈴木大輔『ご愁傷さま二ノ宮くん 3』(富士見ファンタジア文庫)

う、うーん……麗華から真由へのパワハラが続き、つらい。不器用さの表現だというのはもちろんわかるのだが……。
そして真由のわりと気合の入った禁断症状の描写が出てきてもしかしてこれ……難病ものだったのか!?ということに遅ればせながら気づく。

4/29

鈴木大輔『ご愁傷さま二ノ宮くん 4』(富士見ファンタジア文庫)

パワハラお嬢様が妙にしおらしくなってメインヒロインの風格が出てきた。
真由が麗華の事情を知ってしまったこと、知ってしまったことを麗華が知ってしまったこと、真由が知ってしまったにもかかわらずそれを悪用しなかったこと――高階のメタ認知が積み重なってなかなかラブコメらしいラブコメになってきた。面白いです。ここまでの巻は麗華お嬢様がメインヒロインになるまでの助走だったんですね。
もし麗華が十年前のあの子だったら俺は真由へのほのかな思いなんて棄てて約束を果たさねばとか言い出しちゃう峻護は……ちょっと残念ね。ていうかそろそろ真由ルートもてこ入れしてくれないとひたすら発狂しながら恋敵のために心をすり減らしてもいるかわいそうな女の子になってしまう。しかしかわいそうなのは萌えるし最終的に勝ったときのカタルシスを大きくするであろう(予言者)。

*1:なんかあたしバス落石事故コピペ方式が好きすぎる人みたいになってないか?

*2:いや桜乃はインセストではないのだが。

*3:コカインの副作用として有名でコーク・バグとか呼ばれている。

*4:金八先生で丸山しゅうが覚せい剤やって虫の幻覚みてベッドに縛り付けられていたやつですね。あのシリーズでの薬物依存の描き方には問題点も数多く指摘されているけれども……。でも床を舐める八乙女くんの姿は忘れられないよね。

*5:ではないだろ。